コーヒー抽出の法則

 「コーヒーの香りが家庭の中に漂い、家族が集う時間が生まれる幸せを想像しながら、日々焙煎する時間を楽み、ドリップしたコーヒーに癒しのフレーバーを込めたい。私がお客様に提供するものはコーヒーそのものではなく、コーヒーを飲む「幸せな時間」だと考えています。」こんな事をホームページに書いた通り、焙煎するコーヒー豆は100%個人への販売となっています。そして、楽しくコーヒーを飲んでいただくため、コーヒーに関する質問・疑問に対しては出来るだけ丁寧に対応するよう心がけています。

 そのため、自分の未熟な経験や知識を少しでも補う方法として、各地のセミナーに参加したり、出来るだけ多くの珈琲屋さんへ出かけて創意工夫を見つけたり、さらには、コーヒーに関する書籍を読むことで、お客様が理解しやすく楽しめる方法はないものかと模索しています。お店のカウンターに座られたコーヒー好きの方や、今年も依頼された公民館講座を受講される方に満足してもらいたいですから。

 そんなコーヒーに関する書籍を昨年に何冊か予約注文しましたが、石光商事社長である石脇智広氏の『おいしいコーヒーの科学』が発売延期から発売中止となり、コーヒーハンター川島良彰氏の『ツウ!になるコーヒーの教本』も発売延期からなぜか最近になって、著者欄が「ファッティーコーヒー(著)」と訳のわからないことになっていると思っている最中、『コーヒー抽出の法則』がAmazonnから届きました。

 「〇〇の科学」、「〇〇の教本」、「〇〇の法則」とか、やたら目につくタイトルに安直で安っぽさを感じてしまいますが、この本はNHK出版のコーヒー本「カフェバッハ」シリーズ第4弾で、田口護氏とカフェバッハの現総店長、山田康一氏による共著となっています。少し読み進めると、アレレ?と表紙を見返してしまいます。これって法則じゃなくって方程式や科学じゃないの?そう思えるくらい、旦部幸博氏の文章が多く引用されていました。

 確かに引用文が多いものの、その内容を充分に理解してもらえるようカフェバッハのエッセンスが組み込まれていました。こうしたら更に理解してもらえるのではないかと図解や写真が多用され、惜しげもなく披露しているところがカフェ経営者らしくなく好感が持てます。「この一冊を何度も読み返し、理解を深め、自分のものにすることができれば、コーヒーの味を極めることもそう遠い話ではない。」という言葉に説得力を感じました。

 そして、「はじめに」に書かれた一文、『先日、カフェ・バッハに通い続けて30年以上のお客様が笑ってこういった。店でコーヒーを飲み、抽出の教室に通い、焙煎豆を購入してくださる方である。「私はバッハよりもおいしく淹れられるよ」最高のお客様である。その言葉を心から嬉しく、噛みしめている。』に共感を覚え、自分もそんな珈琲屋になりたいものだと思ったしだいです。

 それにしても、田口護氏と旦部幸博氏との共著、今回の田口護氏と山田康一氏の共著といい、こちらの法則の方が気になります。