麩饅頭で一杯

 朝の焙煎が終わって一休み。コーヒーのお供を探して冷蔵庫を開けると、先日お客様からいただいた麩饅頭が一つ残っています。賞味期限が切れているものの、好物の麩饅頭ですから食べないわけにはいきません。サルトリイバラの葉の香りを楽しみながら、コーヒーとともに美味しく食べました。

 この麩饅頭は、愛知県江南市に本店を構える大口屋さんのものです。大口屋は文政元年(1818年)の創業で、今日まで伝統の技を頑なに守り続け、素材を活かした和菓子作り続け、尾張の麩饅頭といえば、「餡麩三喜羅(あんぶさんきら)」の名で知られる名店です。もちもちとした独特の食感を持つ生麩と、上品な味わいのこし餡の絶妙の組合せが何とも言えません。(ちなみに妻は粒餡好き)

 麩饅頭を包むサルトリイバラの葉を、全国で最初に使用したのも大口屋さんのようです。子供の頃には、麩饅頭ではなく、小麦粉で餡子を包んで蒸した饅頭を母親が作っていたこともあって、何度か山を駆け回ってはサルトリイバラの葉を集めていた記憶があります。

 なつかしく思いながら午後の焙煎の準備をします。