瑞浪芸術館へ

 瑞浪市稲津町にあるNPO瑞浪芸術館で開催されている、「おひなの会」(2月9日~17日:12時~16時)を見に行きました。瑞浪芸術館の活動は芸術館会員費により運営されており、公開講座及びワークショップ、ギャラリーの企画、コンサート・イベント等が開催されています。お店に来店される方がボランティアスタッフをされていたこともあって、以前から気になっていたのでした。
 建物は江戸時代の茅ぶき民家を現代のセンスで小さなギャラリーに創り変えられ、入口は鉄の板で囲われた、古きものと新しきものが融合した雰囲気を感じます。確かに、「昔の本物と今の本物が融合した瑞浪芸術館」というだけあって、稲津町から山の中へ走った人里離れた場所に相応しい、本物の大切さを静かに語りかけてくれそうです。
 今回の「おひなの会」には瑞浪土人形、創作雛、染紡織といった作品が三名の作家によって展示されており、昔懐かしい土人形を見ると子供の頃の記憶が蘇ります。作品の横に書かれた説明文によると、「昭和20年代までの東濃地方の雛祭りは、今と大きく異なったものでした。雛といえば、土人形をを意味し、新暦の4月3日の節句日には男・女を問わず、たくさんの土人形を並べお祝いをしました。」とあります。
 瑞浪では、明治中期頃から土人形の制作が始まったと言われ、国内でも有数の産地でしたが、戦後布製の雛が広まり、多くの業者が廃業していったそうです。展示作品は瑞浪市陶磁器資料館に保存されている土人形の型を復元、新たに使用型を制作し、昔と変わらぬ技法で作られ彩色された物でした。
 作品の中には見慣れない「犬筥(いぬばこ)」もあります。犬筥は犬箱とも書き、犬に模した張り子で作られた箱だったようですが、最近では、展示作品のように焼き物で作られたものも多くなっているようです。古くから犬筥はお嫁入り道具やひな祭りの丁度品として用いられ、女性に幸せを呼ぶお守りとされていたとか。幼子の顔を模した雌雄一対の犬の形の小箱で、犬は安産・多産の象徴であり子犬は丈夫に良く育つことから安産と幼児の無病息災を祈るお守りとして飾られたんだとか。
 先日は、瀬戸市で現代風の雛人形を多く見ましたが、趣向が変わって、昔懐かしい土人形や犬筥を見ながら、寒さに震えて春を待ち望むのでした。