ぽい

 富士山?ではなく、快晴の日に見えるのは御嶽山です。でも、この場所からだと何となく山梨県側の富士山っぽく見えなくもありません。この地域でも富士見台という場所が何箇所か有り、実際に条件が良ければ見えるようですが、こんなに綺麗に見えるわけではないので、このアウトレット付近の道を通ると、ついつい車を止めて御嶽山を眺めてしまいます。
 この「〇〇っぽい」という言葉で感じたことに、一杯のコーヒーの価格があります。先日、お客様から「コピ・ルアックを1,500円で飲んできた。」という話を聞いた際、その特別なコーヒーの感想を伺いながら、一生に一度は飲んでみたいコーヒーとして有名なコピ・ルアックだからこそ、たとえ1,500円であっても高級っぽいコーヒーを飲んだという満足感を味わうことが出来たそうです。逆に、自家焙煎店で350円といったコーヒーの価格だと安っぽい感じがして、「本当にちゃんとしたコーヒーなの?」といった気分になるというのです。
 コーヒー1杯の価格はコーヒー豆の原価、人件費、家賃、光熱費といったコストの総和によって決まるという価値の考え方を、コスト・アプローチ(原価法)といいます。ただ、商品の価値はコストの積み上げだけでは、説明がつかない場合も多々あり、すでに存在している近隣の店の価格によっても、その商品の価値が決まることもあり、このような考え方をマーケット・アプローチ(取引事例比較法)といいます。適正価格という決まったものはなく、飲んでも良いと思える価格なら適正、高い!と思うなら不適正となるだけです。
 だからこそ、そのコーヒー1杯にも「〇〇っぽい」という要素が加わると、お客様の満足度を変えることになり、「何か味のわりには高いコーヒーだな」と思われたり、「けっこうお得なコーヒーだった」と印象が異なる結果になります。店側としては良いイメージの「〇〇っぽい」を出せれば良いのですが、そこが一番の難題でもあります。
 開業当時から生豆の仕入れ値が大きく上がったものもり、出来るだけ飲みやすい価格帯に抑えてきた商品の価格も、ぼちぼち変更の時期に来ています。だからこそ、「〇〇っぽい」要素をこれまでに積みかせねて提供してきたか、そこが決め手になるのかもしれません。