一冊のフリーマガジン

 お客様から一冊のフリーマガジンをいただきました。私に渡された理由は、「コーヒーは好きですか?」と表紙にあるとおり、自家焙煎店をメインに9店舗のお店が紹介されている特集記事だったからです。このフリーマガジン「aun(あうん)」は、オールカラーの季刊発行で、2001年7月に、2000年にオープンした公設民営の商業施設「アクティブG」(岐阜駅)からの依頼を受け、周辺エリアの活性化も同時に促す情報誌として発行することになったもので、今回で70号を数えます。
 創刊当時は「地域を憂う想い」を前面に、様々な問題のあぶり出しや提起を行うなど、発行側のメッセージが強い媒体でしたが、途中から編集者が素直に良いと思った「モノ・コト」を取り上げ、地域を再発見する媒体へ転換しています。なにせ、フリーマガジンの発行経験のなかった西濃印刷株式会社が、新たに編集部を立ち上げたところから始まっているので、その成長過程とともに内容も移り変わり、発行者が発信するだけでなく、読者の共感を得ることも意識した媒体へと変貌していきます。
 現実的な話では、岐阜駅周辺エリアの情報には限度があるというもので、今回の特集記事のように美濃加茂市、関市、大垣市と取材範囲を広げざるえないという現実があるようです。
 ともあれ、特集記事に掲載された9店舗のうち、訪問したことのある店は4箇所あって、残りのお店もいつか訪問したくなりました。そして、各店舗の取材記事を読んでみると、私が知っているお店の実態とは多少異なる内容もあり、こうした記事の影響力に心配したりと、他人事ながら気になるしだいです。
 また、自分の店がこうした紙面に出ることは避けたいとも思いました。だって、ビジュアル的に問題があるし、以前「土岐のマスターは頭皮の分が全部どっかにいっちゃた感じ。」などど言われてしまうくらいですから。それに、一時的に来店客が増えても対応できませんからね。目立たぬようにコツコツと続けたいですから。忙しくなったらカウンター越しに楽しい会話もできなくなってしまいます。このまま等身大のコーヒーを長く提供することを心がけ、日々精進しましょうか。そんな事を考えた一冊のフリーマガジンでした。