仙吉じいちゃんの言葉

 いつものように夕食後、妻とともに録画した朝ドラを見ていましたが、妙に納得する言葉がありました。それは、楡野仙吉が孫の鈴愛に話した言葉で、『人間ちゅーのはな、オトナになんかならへんぞ。ずーっとコドモのままや。競争したら勝ちたいし、人には好かれたいし、お金は欲しい・・・ハッハッハッハッ』です。以前に鈴愛に対して、『どうにでもなる、大丈夫や。人間は強い、人間は、ことのほか強い。』という言葉もありましたが、仙吉じいちゃんは時々心に残る言葉を発してくれます。今日の『人間ちゅーのはな、オトナになんかならへんぞ。ずーっとコドモのままや。』ってのも、日々の生活や来店されるお客様を見ていると、つくづく納得してしまうのです。
 よく「いい年をして。」と、年甲斐もなく勝手な行動を取ってしまう人を見たり、落ち着きがなく、わがままな態度に遭遇すると、「自分はそんな風にはなりたくないな。」と思ってみたりするのですが、現実には、競争したら勝ちたいし、人には好かれたいし、お金は欲しい、といった気持ちを素直に表す方や、そうした会話が日常的に行われる様子を見て、複雑な気分を味わっていました。けれど、『ずーっとコドモのままや。』と言われて、「それならば仕方がないかな?」なんて思えてくるから不思議なものです。
 確かに、コドモ心は残しておきたいものの、店舗経営をすれば競争意識も必要だろうし、お客様には好かれたいし、持続可能なお金も欲しいし、仙吉じいちゃんの言葉通りかもしれません。これでは、仏様のような人間になってあの世に行けそうにもありません。(しばらくは)