コーヒーでヒュッゲ

 聞きなれない言葉、「ヒュッゲ」というのが都会では流行っているんだとか。ヒュッゲ(Hygge)とは、デンマーク語で「人と人とのふれあいから生まれる、温かな居心地のよい雰囲気」という意味の、他の国の言語では置き換えられないデンマークの個性を形成している言葉なんだとか。

 なんだか日本の「わび」や「さび」を海外の人が理解できないように、無理やり「見える化」にしてしまって、形から伝えるものも多いらしく、

◎寒い冬に暖炉のそばで火を見つめながら暖かいホットワインを飲む。そこで家族と何気ない話をする。

◎暖かい部屋でキャンドルをともしながら友人たちと食事をする。

◎好きな雑貨やインテリアに囲まれながら一人で静かに本を読む。

◎自宅でゆっくりとパンを焼いたり料理をする。

◎ゆっくりと時間を感じるために部屋の中から外をぼんやりと眺める。

◎日常から少し離れて小旅行をする。

 こんな生活をすれば幸せな気分になるとかで、北欧風デザインの服を企画デザインする店や、北欧風の家具を扱う店、家族や友人が集ってホームパティーを楽しめるような、カラフルなグッズの100円ショップに若い人が集まるようです。

 いかにも流行に乗っかった商売という感じもしますが、果たして長続きするんでしょうか?暗くなれば寝て、明るくなれば起きて働く田舎暮らしをしており、意識しなくても家族で食事をし、ケーキやクッキーを作っては、暇な時間帯には本を読み、定休日にはドライブなんかもしている私なんかは、既にヒュッゲを実践していることになるでしょうかね?ちょっと違うような気がしますが。

 ヒュッゲに絡む商売としてはコーヒーもありそうです。なにせ、デンマークは世界の中でもコーヒー消費量が多い国であり、コーヒーが大好きな国家として知られています。過去のコーヒー消費量の調査では、毎回スウェーデンやフィンランドと並んで、多くのコーヒーを消費していることが分かります。年間のコーヒー消費量は、一人あたり1日平均で34杯ものコーヒーを飲むと言われており、デンマーク国民とコーヒーは切っても切り離せない関係なのです。

 「コーヒーでヒュッゲを!」なんてキャッチフレーズが出てくる日が来るかも知れませんが、コーヒーを飲めば幸せになれる訳もな  く、そもそも生活を変えなきゃって思うのです。実際に、都市部では「ヒュッゲ」とは真逆の「フラリーマン」などと呼ばれる人達もいるらしく、残業のなくなったサラリーマンが時間を持て余し、公園で缶ビールを飲んだり、居酒屋をハシゴしたり、ゲームセンターで時間つぶしをしてから帰宅する人も多いとか。「自宅に居場所が無い。」といったテレビでのインタビューを見ると、日本にはヒュッゲは定着しないとつくづく思うのでした。

 とりあえず私は、美味しいコーヒーとケーキでのんびりしております。