交配種

 映画「人生フルーツ」を見た翌日は、フルーツを使ったロールケーキを作ろうと、福岡のイチゴ「あまおう」でロールケーキを作ってみました。普段は高くて買えない「あまおう」も、偶然にもお値打ちに買うことが出来たため、大きなイチゴの粒をそのまま入れました。

 この「あまおう」という名前は、福岡県の公募でによって選出された、「赤い」「丸い」「大きい」「うまい」の頭文字を合わせたもので、甘いイチゴの王様になるようにとの願いを込めて命名されたんだとか。また、この「あまおう」は福岡県農業総合試験場で育成され、2005年(平成17年)に登録されたイチゴで、品種名は「福岡S6号」、「あまおう」は登録商標だそうです。福岡県ではそれまで「とよのか」が主力品種でしたが、着色の質が安定しないなどの理由から、より高品質なイチゴを目指し開発された品種です。

 この品種に辿り着くまで数多くの交配が行われており、あまおうの母親(子房親)である「久留米53号」は、「とよのか」×「てるのか」の掛け合わせで、父親(花粉親)の「92-46」は「久留米49号」×「さちのか」の交配種また「久留米49号」の掛け合わせは「とよのか」×「女峰」と、素人には訳が分からないほどの品種改良から誕生しているのです。

 コーヒーにおいても交配種は多く、イチゴのように人工交配によって誕生したパカラマ種(パカス種とマラゴジペ種の交配種)、カツアイ種(ムンドノーボ種とカツーラ種の交配種)や、自然交配によってみつかったムンドノーボ種(ブルボン種とスマトラ種の自然交配)などもあります。また、突然変異によって生まれたものもあり、マラゴジペ種やケント種が知られています。

 世に出るイチゴやコーヒー豆も、それまでの間に数多くの失敗品種もあったと思われます。美味しく飲めるコーヒーに出会えたのは、ちょっとした奇跡なのかもしれないと思いながら、自然の恵みをいただいています。