社是・社訓

 企業の多くが社是とか社訓を示しています。社是とは「会社の経営上の方針・主張」で、 社訓とは「その会社で働く社員の指針として定めた理念や心構え」ということになり、言い換えれば、社是が対外的にも主張出来る内容なのに対し、社訓は社員に対してのみ有効なスローガン的なものだと思います。
 そんな社是について、お客様から東京で弁当屋を営む「玉子屋」の社是がユニークだと教えていただきました。それは、一般的に会社の経営上の方針・主張が書かれた社是には成功するコツが書かれているものですが、玉子屋のそれはその反対。「ここに書いてある内容をやると失敗する」というものです。
■玉子屋の社是■
1.旧来の方法が一番良いと信じていること
2. もちはもち屋だとうぬぼれていること
3. 暇がないといって本を読まぬこと
4. どうにかなると考えていること
5. 稼ぐに追いつく貧乏なしとむやみやたらと骨を折ること
6. 良いものは黙っていても売れると安心していること
7. 高い給料は出せないといって人を安くつかうこと
8. 支払いは延ばす方が得だとなるべく支払わぬ工夫をすること
9. 機械は高いといって人を使うこと
10. お客はわがまますぎると考えること
11.商売人は人情は禁物だと考えること
12.そんなことはできないと改善せぬこと

 これは現社長がの会社を継いだ際、友人から“お前の考えにピッタリのものがあった”とFAXで送られてきたもので、150年以上前の富山県のお寿司屋さんが作ったのではないかと言われている代物のようです。ここに書いてある内容をやると失敗するが、ここに書いていないことはお客様目線では何をやってもいいということだと社長は考え、これを社是にしたというのです。

 特別な内容ではないものの、具体的な気づきを与えてくれる発想には興味が持てます。実際に、「そんな人いるな~。」って何項目か思い当たる事もあり、自分自身も気を付けなければいけないと思うのです。私の場合は、「まめ蔵への想い」のように長くお店を続けるため、経営者として常に念頭に置いている内容を書面にして書斎に掲示しています。2013年2月10日の日付と署名を入れ、たった一人の個人経営だからこそ、ブレないように進みたいから。