強→中→薄?

 昨日は在庫の無くなったケーキをいくつか作ろうと決め、使用する材料を計量して準備を進めて薄力粉を出そうとした時、「えっ!強力粉じゃないか!!何で?」、思わず手が止まってしまいました。どうやら、ネット注文した薄力粉が到着するまでの数日間を穴埋めするため、定休日に専門店で買った際、隣にあった強力粉を誤ってカゴに入れたようです。仕方なく薄力粉が到着するまで、ケーキ作りを諦めることにしました。

 日清製粉の小麦粉分類図を見てのとおり、使用用途によって名称が異なります。コーヒー豆も産地や品種によって苦みや酸味といった味わいも違い、提供する商品を選定する際には、そのコーヒー豆の持つ特性を見極める必要があります。けれど、小麦粉のような用途別の品種や焙煎度を表す図もないため、色々な本や資料、生豆商社の意見を参考にして実際に焙煎してみるのです。

 そこで、以前から気になっていた疑問が湧いてきました。というのは、グルテンが多い小麦粉が強力粉であるのに対し、グルテンの少ない小麦粉がなぜ薄力粉なのかという疑問です。グルテンの多い小麦粉を、「力(リキ)が強い」というので、強力を「きょうりょく」ではなく「きょうりき」と読ませるのは納得できます。しかし、強力粉→中力粉とくれば次にくるのは当然、弱力粉であるはずです。また、薄力粉を基準と考えるなら、薄力粉→中力粉→濃力粉となるべきです。「薄」は薄いという意味なので、その反意語は「濃」でなのですからね。

 さっそくネットで調べてみますが、納得できるような意見がみつかりません。そんなこんな調べていると、(財)製粉振興会が回答した文書がみつかりました。

『中国では、用途から考えて、古代に小麦粉をグルテンの力で分類するという発想はなかったと思われますので、明治時代末期に必要上から自然発生的に生まれた言葉だと思います。製粉会社が販売の都合で名付けたのが、普及したのではないでしょうか。当時創業の大手製粉会社の社史を見ても、その辺のところは書いてありません。強力粉は自然というか当然の言葉ですが、それに対応する言葉として「弱力粉」では印象が悪いので、「薄力粉」と言ったのだと思います。製粉の先進国である欧米には、これらに相応する言葉も概念もありません。硬質小麦の粉および軟質小麦の粉と呼ぶか、パン用粉、ケーキ用粉、クッキー用粉などと呼びます。』

 へ~!日本独特の呼び方なんだ~。そんなことをブログに書いていると、宅配便が薄力粉を運んでくれました。さて、ケーキ作りを再開するとしましょうか。先ずは、りんごのケーキから。