ずんだ

 初夏になったこともあり、今年も昨年同様に「ずんだのロールケーキ」を作りました。生地は緑色にするため抹茶を混ぜ、ずんだの入り生クリームの中心には「ずんだ餡」を巻いてみました。

 この「ずんだ」の存在を知ったのは20年近く前の事で、サラリーマン時代の元部下が「ずんだ餅」が好きだというので、食べてみたのがきっかけでした。もともと郷土のお菓子として食べられていたものが、1989年(平成元年)に(株)黄金食品が郵便局のふるさと小包による「冷凍ずんだ餅」を販売し、同業他社でも冷凍食品の枝豆を使用した物が年間を通じで出回るようになったようです。今では「ずんだ餅」をアレンジしたスイーツが多く開発されています。

 そんな「ずんだ」なのですが、お客さまへ「今日のケーキ」をお勧めする際、「ずんだ??何それ?」って尋ねられることもしばしば、意外と知名度が今一つの「ずんだ」でありました。「すんだは、枝豆やそら豆をすりつぶして作る緑色のペースト状になったもので、東北地方のお菓子に使われる物ですよ。」って説明すると、「あ~!あ~!」」って分かってもらえます。

 そもそも「ずんだ」という呼び名も地方によって異なるようで、青森県を除く東北地方と栃木北西部で郷土食として親しまれ、「づんだ」「じんだ」「じんだん」「ヌタ」とも呼ばれています。そして、その呼び名の起源も諸説あり、茹でた枝豆をすりこぎで叩いたり押したりして潰す様子から、「豆を打つ」とう解釈で「豆打」(ずだ)となり、「豆ん打」と呼んだ説。伊達正宗が出陣の際に、「陣太刀」で枝豆を砕いて食したというエピソードから由来する説もあります。「陣太刀」(じんだち)を方言で「じんだづ」「ずんだづ」などど発音するからだそうですが、伊達正宗の時代よりも前から「ずんだ」の呼び名があったという話もあって、なんだか「豆を打つ」という説に真実味がありそうです。他にも人物の名前に由来するものなどありますが、はっきりしませんね。

 ずんだのロールケーキは知名度が低いこともあって注文はすくないですが、個人的には地味でも美味しいケーキなので夏場の間は作っていこうと思っています。冷凍技術が進んで年間通じて食べられるといっても、やっぱり季節感のある食べものは良いものです。