お湯を細く注ぐ

 先日の公民館で行ったコーヒー教室では、お湯を細く注ぐ練習として、画像のような大小2個のコップを利用した道具を使い、出来るだけ細く目標に向かって注ぐことを練習してもらいました。全体の講習時間の制約もあったため僅かな時間しか割けませんでしたが、この「お湯を細く注ぐ」ことの意味を理解してもらい、抽出の仕組みをイメージしながら淹れてもらいたかったからです。

 コーヒーの抽出は「蒸らし」といわれる最初の注湯を行います。お湯をのせるようになんて言ったりもしますが、一定量の湯をコーヒー層全体に湿らせ、同時にお湯の通り道を確保します。そして、それ以降の注湯では出来るだけ細く注ぎ、コーヒー層を通過する時間を長く使って、充分な抽出液をコーヒー粉から得る訳です。太く注げばコーヒー層は壊れ、コーヒー層を通過する時間も短くなることになって、薄く雑味のあるコーヒーになってしまいます。

 先週、お客様から「毎回同じ味にならないんです。」といった声をいただきましたが、この方の場合は一人分しか淹れないそうなので、注ぎ方で大きな差ができてしまいます。なぜなら、一人分ではコーヒー層がそもそも薄く、そのコーヒー層を通過するお湯の速度によって抽出液に違いがでてしまうからです。

 そのお客様へは、そのような説明をした後に、どんなドリップポットを使っているのかお聞きし、お湯を細く注ぐことに気を付けてもらうことと同時に、コーヒー層を厚くするため少し多めにコーヒーを淹れることや、急須スキッターを使って細く注ぐこともアドバイスさせてもらいました。さて、次回来店された際にはどんな反応があるのか楽しみです。

 ちなみに、大小2個のコップを使った練習用のコップは、UCCコーヒーアカデミーで使用していた物を真似ました。いつか使ってみようと思っていましたが5年も過ぎてしまった。