レギュラーとイレギュラー

 最近、お客様へ注文を尋ねると「レギュラーコーヒー。」と答える方がおみえになります。一瞬「???」となるのですが、「ブレンドでよろしいですか?」と確かめて注文を受けます。でも、内心は「全てのコーヒーはレギュラーコーヒーなんだけど。」って思ってしまいます。個人的にはレギュラーって言葉はイレギュラーなんです。

 『レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約』によれば、『この規約において「レギュラーコーヒー」とは、コーヒー樹の種実から採ったコーヒー生豆をいって精製したコーヒーいり豆及びコーヒーいり豆を挽いたコーヒーをいう』また、『 この規約において「インスタントコーヒー」とは、コーヒーいり豆から得られる抽出液を乾燥した水溶性の粉状、顆粒状その他の固形状のコーヒーをいう。 』とあるように、インスタントコーヒーと区別するために作られた和製英語なのです。一説によるとUCCコーヒーが作った言葉なんだとか。(さすが業界のトップランナー)

 英語の regular には「普通の」「いつもの」といった意味があります。ただ、何をもって「普通」とするかはまちまちのようです。英語圏でもregular coffee という表現はありますが、ただし、その意味するところは異なるようで、「砂糖やミルクを適量加えたコーヒー」を指すこともあれば、「砂糖もミルクも加えないブラックコーヒー」や「カフェインレス加工(decaf)していないコーヒー」を指すこともあり、特にアメリカの東海岸沿い地域では砂糖とミルクを加えたコーヒーを指してレギュラーコーヒーと呼ぶ傾向にあるようです。

 日本ではインスタントコーヒーの対比語として使われているレギュラーコーヒーですが、インスタントコーヒーの主原料であるロブスタ(カネフォラ種)を加えたレギュラーコーヒーも多く存在し、お湯に溶けなくてもインスタントコーヒーと同じ味ってのもある訳で、レギュラーとイレギュラーの狭間にあるコーヒーに対して、もっと分かりやすい言葉を使って欲しい気持ちです。

 でも考えてみれば、そんなことすると困る人が大勢いるから出来ないだろうから、一見「普通の」レギューラーが「いつもの」ように使われるんだろ~な。