手話の一日

 今朝は開店前に手話サークルの会員と打ち合わせです。地元にある高井病院から「高井病院健康まつり」で手話教室をやってほしいとの依頼があり、今日はその当日ということもあって最終確認という訳です。私は店の営業があるため参加できませんでしたが、高井病院から依頼を受けたのが自分ということもあり、指文字下敷きや掲出ポスター作りの後方支援という形でお手伝いをしました。サークルのメンバーが午前中のイベントを無事に終え、報告を兼ねて店に立ち寄ってくれましたが、多くの方々と交流ができ、充実した時間を過ごせたことに正直ホッとしたしだいです。 

 午後になると、初めて見る一組の男女が来店され、いつものようにテーブル席を案内しますが、女性の方が相手の男性に手話で話しかけていました。そこで、カウンター席へ移動してもらい手話で対応します。注文を聞きながら雑談をすると、「昨日のフェイスブックを見た妻が、どうしても店に行きたいというので岐阜市から来ました」と、わざわざ高速道路を使って来店されたことを知ります。なんと昨日の今日の出来事にビックリ!健聴者のご主人と聾者の奥さんが、岐阜市から高速を使って1時間掛けて来店されたのですから、ネット情報の力を思い知らされます。ホームページとツイッターはやっているものの、フェイスブックまで使い切れない私には、情報の伝わる速度の速さに只々驚かされるばかりです。 

 普段は手話を使う機会が少ないものの、この二日間は久しぶりに手話を使い続けることになりました。その中で分かったことは、手話を使えるお店が極めて少ないことです。単に注文して食べて帰るだけなら筆談でもかまわないのですが、お店の商品について「会話する」、「コミュニケーションする」ことで商品の感想や世間話ができる環境が意外に少ないそうです。店主との何気ない会話や雑談を楽しむことは特別な事ではないと思っていましたが、彼らにとっては特別な店であることに気付かされたしだいです。 

 私は特別な店にしようという気持ちもなく、老いも若きも、障害の有無も関係のないバリアフリーで自然体の店でありたいと思っています。そんな事を感じた「手話の一日」でした。