焙煎セミナーへ

 今日は、UCC神戸本社にあるUCCコーヒーアカデミーで開催された、焙煎セミナーへ参加してきました。講師は札幌でコーヒー店を経営している後藤栄二郎さんで、世界大会等でカッピングや焙煎の上位入賞経験のある方です。

 今回のセミナーには24名の参加者があり、私のような自家焙煎店の店主やスタッフ、ネット通販でコーヒー豆を販売する人、カフェ経営者で新たに焙煎機を導入したい人など様々です。

 そのため、焙煎経験の有無や焙煎機の大きさや性能など、参加者の希望するレベルや知識の差があるので、講師の伝えようとする意図と違って伝わったり、固定観念にとらわれてしまって数字を意識し過ぎる人など、大人数でのセミナーに起きやすい現象もありました。それを強く感じたのは質問の時間です。

 私はというと、普段1kg焙煎機を使用しているので、プロバットの12kg焙煎機が動いているだけでウキウキし、ハゼ音がするたびワクワクしちゃって、自分が焙煎している訳でもないのに、ついニヤイヤしてしまうのでした。

 講師からの説明で興味深かったのは、焙煎するうえでの考え方です。

①素材の個性を掴むこと

 生豆の所見(色・香り・粒の揃い具合)。1ハゼ中盤の香りの強いポイントでを何度と決めて、いつもそこの味わいを判断のポイントとすること。

②焙煎から数日後の味わいを確認し、焙煎からどのくらいが美味しいか味わいのピークを知る。(個々の違いも知る)

③珈琲を知れば知るほど不安定要素が多いことと、そもそも、どんなポテンシャルがあるのか分からない新しい試みの豆が生産されているので、常に興味を持って確認すること。その際に、何故この味、香りになるのかを背景を思い描く。

④カッピングは積み重ねた確かなスキルである。日常的な味をチェックできる環境を作り、必ず比較対象を作ること。また、高品質のコーヒーだけでなく、様々なコーヒーを飲んで味を知ること。

⑤焙煎の目的は豆の個性を引き出すことであり、そのためには、「生豆を知り」、「産地を知り」、「味鑑定を知り」、「焙煎機を知り」、「お客様を知る」

 コーヒーの焙煎を学び始めたとき、「師匠」だとか、「先生」といった言葉が出てきて、意外に閉鎖的な世界だと感じたものです。特定の人を師に仰がなかった私には理解できず、できるだけ多くの人に出会って話を聞いたり、数多くの本を読んだりしながら実際の焙煎を通じて検証してきたので、今回の経験はとても良い時間となったのでした。