ペーパーフィルター

 サラリーマン時代はゴールデン・ウイークが楽しみでしたが、今では渋滞した道路と無縁のお店で、毎日の出会いを楽しんでいます。今日も懐かしい人に何人も出会うことができ、人が集まる場所を作ったことに喜びを感じて、連休とは無縁の生活です。

 そうした来店されるお客様の中には、コーヒーの淹れ方について質問されるの方もいるですが、その中に「ドリッパーにペーパーを入れてから先ずお湯を注ぐのですか?」というのがあります。確かに昔はそうした光景を目にした人もあるようです。実はテレビでも某○○珈琲の淹れ方として紹介されていました。

 実際、ペーパーフィルターをお湯で流してからコーヒーを抽出するという方法で淹れているお店も存在するのです。これは、塩素でペーパーを漂白していたとき、その塩素を洗い流す方法として考え出されました。それに、ペーパーフィルターの品質も悪かったので紙くささをなくすため、ある程度意味があったのです。けれど、現在のペーパーフィルターでは酸素漂白に変わったり無漂白になったりしています。何よりも、製紙の技術は昔と比べると格段に進歩しているのです。試しに匂いを嗅いでみてください。無臭の筈です。むしろ、ペーパーフィルターの保管状態が悪いため、他の匂いが吸着しているこが多いので、ジップロックやタッパーに入れて保管すれば匂いはつきません。

 紙臭さの正体は「リグニン」と呼ばれる樹木の成分なのですが、一度お湯で流したぐらいでは落ないはずです。想像してみてください。ニンニク臭い口をお湯でうがいしたぐらいで消えますか?むしろ、抽出前にペーパーフィルターにお湯を注ぐ理由には、次のようなものがあるようです。

■ペーパーフィルターがドリッパーに密着して、ドリップしやすくなるから。
■ドリッパーとサーバーを温めるためにあらかじめお湯を注ぐ。そうして器具を温める事によって温度低下を僅かですが、防ぐことができるから。

 ペーパーフィルターの「あるある」って感じの内容でしたが、紙臭さを洗い流すなんて言ってる珈琲屋さんは、今じゃほとんどいないんじゃないでしょうか。実際、テレビで使用していたハリオV60のメーカーである「ハリオ」のホームページでは、ペーパーを濡らすなんていう淹れ方を紹介していません。「そんな臭い紙を使っていないぞ!」って言われそう?