ブラジルの首都は

 今年の夏にはブラジルのリオデジャネイロでオリンピックが開催されます。名前が長いので「リオ・オリンピック」なんて言っていますが、東京ならば「トキ・オリンピック」のように短くするようなもので、地名を短縮するのはどうかと思います。

 ところで、ブラジルの首都はどこかと聞かれると、「サンパウロ」や「リオデジャネイロ」と答える人が多いようです。本当のブラジルの首都は、リオデジャネイロから1000km程離れた場所にある、ブラジリアと言う所です。

 ブラジルの首都は、元々リオデジャネイロにあり、既にポルトガルの植民地だった18世紀から首都移転の計画がされ、19世紀末には、最適な地域を求めて地質学者などによる調査団が、移転先となりうる地域に派遣されています。そして、1956年に大統領に就任したジュセリーノ・クビチェック氏によって、首都移転が実行に移されました。
 首都移転の理由については、平成22年6月の駐日ブラジル連邦共和国大使館経済部長へのインタビュー記事よれば、次の3つになるようです。

■最大の目的は、「ブラジルのアイデンティティを構築すること」です。ブラジルは多民族から構成されており、旧首都のリオデジャネイロはポルトガルの影響を非常に強く受けていたため、ブラジルの多民族統一を図ることと、国民国家を象徴するような一つの都市を造る必要がありました。
■2番目の目的は、それまでは沿岸部に人口が集中していて内陸部には人口がまばらでしたので、地理学的な戦略から、内陸部へも人口を分散させる必要性があったということです。
■3番目の目的は内陸部の開発です。労働者を移住させ、土木工事を行ったり、あるいはセラード(低木草原地帯)の農業を振興する。セラードというのは「ブラジルのサバンナ」とも言われますけれども、非常に肥沃な土地ですが、農業を行うためには土地改良の必要がありました。

 実は、このセラード地区の農業開発こそが、日本人移住者が多大な貢献をしていおり、コーヒー農園が拡大されて、現在のようなコーヒー生産量世界一位を誇ることになったのです。(やっとコーヒーに繋がった!)