最初の一杯

 最初と最後が逆になってしまいましたが、内容はまったく関係がありません。最近、コーヒーを自分で淹れてみようと言われるお客様が増えてきました。珈琲屋としては嬉しい限りです。一人でも多くの方が、家庭でコーヒーを淹れている様子を想像すると幸せな気分です。

 昨日も若いご夫婦が来店され、家で淹れるコーヒーを選ぶのを迷っていたので、いくつか試飲してもらってご購入いただきました。豆は挽いてほしいということなので、挽き具合による味の違いを少し説明していると、常連さんから「ミルは買った方がいいよ。挽いた時の香りが違うから。」と力説しています。私もコーヒー豆から発生する炭酸ガスの違いを実験した、ホームペジの動画を見せながら説明しました。そんな話を聞いたお客様はコーヒーに増々興味を持たれたようです。

 家庭で淹れるコーヒーは、あの二人にとってどんな味になるのでしょうか?多少ほろ苦くなっても相手のために心を込めたコーヒーは、お店で飲むコーヒーより美味しいに違いありません。二人にとって「最初の一杯」となることでしょう。

 先日は、プロペラ式のミルを使っていた方が、臼挽きのミルに変えられて「香りが全然違う!」といって声をかけられました。この方にとっても、「最初の一杯」になったに違いありません。そうしたコーヒーに関わる楽しみを見つけてもらうことが、私の役目だととも思っています。誰だって「最初の一杯」から始まるのですから。