ゲイシャ ≠ 芸者

 ゲイシャ(Geisha)というコーヒーの品種の人気が続いています。日本人は芸者との響きが同じなので馴染みやすいためか、よけいに人気なのかもしれませんが、元々、原産地のエチオピア南西部にある地名のゲシャ(Gesha)から来ているそうです。その辺りが原産の野生種が、アフリカ各地、そして中米に持ち込まれて改良されながら栽培されてきました。

 そのゲイシャ人気に火が付いたのは、パナマのエスメラルダ農園のゲイシャがカップ・オブ・エクセレンス(COE)というコンペティション(品評会のようなもの)で優勝し、目ン玉飛び出るようなとんでもない価格で落札されたのが始まりです。その人気は今でも続き、近隣の農園や、パナマのゲイシャというだけで高値で取引されています。そうなえると「ゲイシャは儲かる」ということで、コロンビアやコスタリカ産のものまで出てきました。

 生産者だけではなく、コーヒーを売る側にしても、高くても売れる商品は利幅が大きいため、自家焙煎珈琲店以外でも売り出し始め、昨年にはスターバックスが1,850円で販売し、今年にはローソンが40周年記念商品として「琥珀色の宝石」のキャッチコピーで一杯400円で販売したりしました。本当に人気芸者といったところです。
 正直、農産物としての高品質の基準が、そのまま美味しさにつながっているのか? その品質としての妥当な価格なのか? ということろが気になるところです。確かに東京の超有名店のゲイシャを飲む機会があり、紅茶のようなウオッシュドや、パイナップルの香りがするナチラルなど、今までに経験したことのない特徴がありました。お客さんの中には、美味しければいくら高くとも買うというよう方も多いようですが、果たしてそれでいいのでしょうか?何だか不当に付加価値をつけて高く売っているような気がするのは私だけでしょうか?開業前に色々な方の話を聞いてきましたが、「コーヒーは儲かります!」、「コーヒーはビジネスです。」という言葉を聞くたび違和感を覚えたものです。

 日本人の多くが芸者遊びができるほどお金持ちになったとは思えませんし、私自身も「芸者遊び」と「ゲイシャ遊び」も出来ません。もっと妥当な価格になれば扱えるのですが、いつのことになるのでしょうか?