珈琲屋の人々 -宝物を探しにー

 東京は下町の商店街にある『珈琲屋』。主人の行介はかつて、ある理由から人を殺していた……。心に傷を負った人間たちが、『珈琲屋』で語る様々なドラマを七編収録。連続ドラマ化もされ、ロングセラーを記録している『珈琲屋の人々』シリーズ最終巻。行介と冬子の恋の行方もついに……。(7月22日発売:双葉社)

 「シリーズ最終巻」という文字に引き込まれて、ついついAmazonの注文ボタンをクリックしてしまいました。行介と冬子がどうなるのか気になって読み始めましたが、これまでのような無理やりストーリーを作った感がなくて、自然に読み進めることができて最終巻を思うと寂しくなりました。

 本の帯には「熱いコーヒーは、心を癒す。だからまた、飲みたくなる。」ってのがありますが、私としては、行介が服役していた当時の刑務官が言った、「コーヒーという飲み物は立派だね。大したもんだと私は思うよ。幸せなときにブラックで飲めば、幸せを噛みしめることができるし、心が騒ついているときに砂糖とミルクを入れれば、元気を少し取り戻すことができる。こんなありがたい飲み物は他にないよ」って言葉にうなずいちゃうな~。

 このシリーズを読み始めたのは開業前でしたが、今では珈琲屋が「珈琲屋の人々」を読んでるわけで、何か不思議な気分です。本のような出来事が当然起きるはずもありませんが、来店される方々の人生模様を少しだけ垣間見ることもあり、リアルなストーリーは小説にも負けないものがあるな~と時々思ったりします。

 「宝物を探しに」はお決まりの内容なのですが、こうしたストーリーが繰り返されるのは、やはり多くの人が宝物は外にあるものだと勘違いしているからなのでしょうか。私は早めに気づくことができたので、宝物を失くさないように大切にしています。