キリマンジャロ

 「キリマンジャロありますか?」と聞かれることがあります。そんな時は、「タンザニアはあります」と答えてしまいます。これってダメな答え方なのかもしれませんが、説明すると長くなるし、嘘っぽくなるのでついついこう答えます。

 一般的に「キリマンジャロ」と呼ばれるのは、タンザニアのキリマンジャロ山の麓の町、アルーシャやモシ近くの、標高1,500mから2,500m付近のプランテーションで栽培された、強い酸味と甘い香りを特徴にしたものです。日本ではキリマンジャロ・ブランドとして有名ですが、世界的に人気がある銘柄かというと実はそうでもありません。ブルーマウンテンと同様にイメージ戦略によって作りだされたブランドなのです。ホームページでも紹介していますが、日本がダントツの輸入国です。

 日本でキリマンジャロがブランドとして認識されるようになったのは、ヘミングウェイ原作の『キリマンジャロの雪』(1953年日本公開:上の画)がきっかけだと言われており、ブルーマウンテン同様「英国王室御用達」という売り文句で販売されていたようです。日本人ってのはこういうのに弱いんですね。

 コーヒーの表示に関する公正競争規約によれば、「キリマンジャロ」というブランドは、タンザニア産すべての水洗式アラビカ種コーヒー豆も利用することができるため、当店もキリマンジャロという名称で販売できますが、これって何か変でしょ?そんな訳で、キゴマ地区の名前で「タンザニア キゴマ」と使っています。

タンザニアらしさは同じなんですよ。

 今では「キリマンジャロ」として日本では認知され多く輸入されていますが、昔は認知度が低く、遠くイエメンまで運んでモカとして輸出していたことを知ると、本来の価値って何なんだろうと思います。