コーヒーを挽きながら

 コーヒーを挽きながら、「コーヒーを挽きながら」を聴き、「コーヒーを挽きながら」を読む。なんともややこしい事をしながらコーヒーを楽しんでみました。

 「コーヒーを挽きながら」の音楽は、「コーヒールンバ」として訳され、西田佐知子(作詞:中沢清二)や、ザ・ピーナッツ(作詞:あらかはひろし)が歌っていましたが、特に西田佐知子が歌ってた次の歌詞が有名です。

♪昔アラブの 偉いお坊さんが 恋を忘れた あわれな男に しびれるような 香りいっぱいの こはく色した 飲みものを 教えてあげました♪
なんていう恋の曲なんですが、実は、ベネズエラのシンガー・ソングライター、ホセ・マンソ・ペローニ(Jose Manzo Perroni)が1958年に作詞・作曲した"Moliendo Café(コーヒーを挽きながら)"が原曲でして、歌の内容なまったく異なっています。歌詞を調べてみるとこんな内容だとか。

 ♪夕方 日が傾くと また暗闇がやって来る。あるのはコーヒー農園の静けさだ。いつものように また その歌が聞こえる。それは コーヒーの古い挽き臼の悲しい恋の歌である。それは 夜の休息のなかで うめき声を聞いているようだ。ある恋の苦しみを ある恋の悲しみを。サンボのマヌエルは心に抱く。彼の悲嘆のなかで とどまることなく夜はふけていく。コーヒーを挽きながら。♪

 サンボ(zambo)とは、南米のスペイン語圏・ポルトガル語圏で、奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人と現地のインディオもしくはムラ-トとの混血のこと。ムラ-トは、白人と黒人の混血を指します。
 そんな、ラテンアメリカのコーヒー農園を舞台にした小説が、 岸本静江著書の「コーヒーを挽きながら」です。コーヒー村に渦巻く、いくつかの人間模様を描いています。マリーアは祭りの輪の中でペドロと出会い…。ドン・フェルミンは長雨と家系断絶の不安に怯え…。ディエゴは途絶えてしまった送金を待ち続け…そして、数百年に及ぶ暴力と搾取に一斉蜂起する人夫たち…。ホセ・マンソ・ペローニが歌った内容とリンクするように、ちょっと悲しい物語で綴られています。

 コーヒーを挽く時間内には収まりませんでしたが、コーヒー漬けの一時を過ごしました。