よいコーヒーとは

 「よいコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い。」これは、フランスの政治家、タレーラン=ペリゴールの言葉です。甘いのは砂糖をたくさん入れた飲み方をしていたようなので、コーヒー本来の味ではないようですが、面白い表現です。

 カフェ・バッハの田口さんの著書「珈琲大全」では、「よいコーヒー」を次の4つの条件で提起されています。
1.欠点豆のない良質な生豆(発酵豆やカビ豆などの欠点が少ない生豆のことで、必ずしも値段の高い生豆を意味しない)
2.煎りたてのコーヒー(コーヒーの賞味期限は焙煎後2週間以内を目安。豆のままで保存し、抽出する直前に粉に挽く)
3.挽きたてのコーヒー
4.いれたてのコーヒー
 つまり、「よいコーヒー」とは、『欠点豆を除去した良質な生豆を適正に焙煎し、新鮮なうちに正しく抽出されたコーヒー』と定義されています。いわゆる、「おいしいコーヒー」は、官能的理想像、個人の感情の産物なのだから、「おいしいコーヒー」は焙煎や抽出技術の範疇ではないため、達成可能なことは「よいコーヒー」をつくることであり、コーヒーのプロたる者はまず「おいしいコーヒー」より「よいコーヒー」の提供を心がけなくてはならないとおっしゃっています。
 確かに「おいしいコーヒー」は「よいコーヒー」の中からしか生まれないと思います。先日、正月に甥っ子が年始の挨拶に来たとき、学生時代のアルバイト先だった大手コーヒーチェーンでは、抽出したコーヒーは1時間経過したら捨てる。ミルで挽いた豆は3日経過で処分するという規定があったと話してくれました。これも、「よいコーヒー」でなければ「おいしいコーヒー」の条件を満たさないということです。
 コーヒー屋としてゼロからスタートしたため不安もありますが、「よいコーヒー」作りを目指して努力していきたいと考えていますし、努力しがいのある仕事だと思っています。生涯成長できる可能性があることから、挑戦しようと決めたのですから。