家庭で美味しいコーヒーを

 全日本コーヒー協会の調べでは、コーヒーの一人1週間当たりの杯数を飲用場所で分けると、一番多いのが家庭で、6.85杯となっています。割合でいうと64%を占めていることになります。喫茶店文化の根強い東海地方では意外かもしれません。ただ、家庭で飲まれるコーヒーは、レギュラーコーヒーではなく、インスタントが中心です。手軽さ故の理由だと思いますが、このインスタントコーヒーから、美味しいレギュラーコーヒーに変えていただくことも自分の仕事だと思っています。

 家庭でレギュラーコーヒーの飲む方のほとんどが、コーヒーメーカーを使用されいるのではないでしょうか。あらかじめ挽いたコーヒー粉をセットし、タンクに水を入れてスイッチをポン!確かに便利ですし、インスタントコーヒーにはない香りがあります。でも、ハンドドリップでコーヒーを淹れる時間を楽しんでもらいたいのです。ハンドドリップでも抽出時間は5分とかかりませんが、コーヒー豆を挽き、お湯を沸かして、フィルターに粉を入れて、数回に分けて注湯する。この面倒な手作業の時間と、誰かのためにコーヒーを淹れるライフスタイルが大切だと考えるからです。

 お金を払えば手軽に何でもできる時代になりました。コンビニでもボタン一つで美味しいコーヒーは飲めますし、最近では、学校の宿題も代行してくれる会社も現れました。何だか手軽さと引き換えに、大切なものを失っているような気がしてなりません。自分の手で誰かのために、面倒な作業を行って、家庭で美味しいコーヒーを淹れる時間を作ってもいいんじゃないかって思うんです。せっかく限られた人生の時間を生きるんだから、家庭では贅沢な時間の使い方をしてもらいたいのです。

 インスタントコーヒーから、いきなりハンドドリップというのは難しいので、ハンドドリップの楽しみ方を広めたいと、コーヒーセミナーも計画しています。コーヒーは苦いだけじゃなく、ナッツやフルーティーなフレーバーを感じてもらいたいのです。美味しいコーヒーを飲めば、きっと笑顔が増えるんだろうな。