フェアトレードを考える

 コーヒー豆にはいくつかの認制度があります。フェアトレード、グッドインサイド、レインフォレストアライアンス、バードフレンディーなど、生産者との適正な貿易価格や栽培環境に配慮したコーヒー豆に対して個別に認証し、持続可能性を保とうとするものですが、今回はフェアトレードについて考えてみたいと思います。
 フェアトレードの団体は主にFLO、WFTO、EFTAの3つの団体からなるネットワークです。その中でフェアトレードを次のように定めています。
『フェアトレードは、対話、透明性、敬意を基盤とし、より公平な条件下で国際貿易を行うことを目指す貿易パートナーシップである。特に「南」の弱い立場にある生産者や労働者に対し、より良い貿易条件を提供し、かつ彼らの権利を守ることにより、フェアトレードは持続可能な発展に貢献する。フェアトレード団体は(消費者に支持されることによって)、生産者の支援、啓発活動、および従来の国際貿易のルールと慣行を変える運動に積極的に取り組む事を約束する。』
 解りやすく言えば、経済的にも社会的にも弱い立場の開発途上国の人々にとって、時に「アンフェア」で貧困を拡大させるものだという問題意識から、南北の経済格差を解消する「もう一つの貿易の形」としてフェアトレード運動が始まったのです。そして、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指ざす「貿易のしくみ」を 作ることなのです。

 フェアトレードの対象製品はコーヒー、紅茶、カカオ、スパイス、果物等ですが、市場として大きいのがコーヒーです。認証を受けるには、1.認証・ライセンスの取得2.国際フェアトレード基準の遵守3.製品の認証4.監査5.報告、が義務付けられており、フェアトレード信頼性を高めているのですが、次のような問題点も言われています。
・フェアトレードでは持続可能な生産と生活に必要な価格(フェアトレード最低価格)を保証していますが、この最低価格が、ここ数年国際価格よりも低いという実態がある。
・生産者は組合を作り、透明性のある民主的な活動を行い、安全な労働環境、人権の尊重、人種差別・児童労働・強制労働の禁止などILO条約(国際労働条約)を守ることになっているが、実際には生産組合内での搾取構造が存在し、末端の生産農家に適切なお金が支払われていないことがある。などの批判も指摘されています。
 フェアトレードは“良いこと”であることは間違いありませんが、「このコーヒーで、アフリカの貧しい人を救えます」と言いたくても、救えない例もたくさんあるし、実際、救われる人もいる、という現実があります。「人と地球にやさしい」というフレーズ“だけ”で世界は救えなさそうなのはわかりました。
 自分の店舗で扱うコーヒー豆を選定するときに、フェアトレード製品も考えたので、JICAで何種類かのフェアトレードの豆を購入し飲んでみましたが、自分が販売したい商品ではありませんでした。正直、フェアトレード商品=美味しい、とならない現状がある以上はまだ仕入れることはないと思います。同時に自分が正しい知識を持って判断していく必要を感じています。