七夕の季節

 

 7月に入ったので家の隣の竹藪の枝を切り、玄関口に七夕飾りを作りました。子供が生まれてから続いている我が家の行事ですが、願い事を書く短冊の内容はほとんど変わっていません。「家内安全」「家族みんなの健康」などの一般的なものばかりですが、こうした行事は大切にしていきたいと思っています。なぜなら家族がいるから行えることだからです。家族がいるから「今年のアジサイはきれいだね」「向日葵も咲いて暑い季節になるね」といった会話が生まれ、互いへの思いやりや共有する時間が生まれるからです。

 珈琲屋を始めるにあたって、豆売りを考えた理由の一つに、家庭でコーヒーを楽しむ時間を作ってもらいたいという願いがありました。お店で普段と違う空間で楽しむことも大切ですが、家庭で一つのテーブルを囲んでコーヒーを飲む時間を持つことで、新しい会話が生まれることを期待しています。コーヒーの味についてでもいいですし、コーヒーのうんちくでもいいでしょう。幸せの時間の始まりは家庭からです。そこから職場や学校、地域へと出かけることはあっても、帰るところはやはり家庭です。そして、終焉を迎える幸せの時間の終わりも家庭なのですから。

 あたりまえに存在しているものの大切さに気づき、その時間を大切にする小道具として私が焙煎したコーヒーが利用されれば、こえほどの喜びはありません。まだ少し時間はかかりそうですが、そうなることを夢見ています。